【精神科医が解説】精神医療審査会とは?どのような役割をする会なのか?

目次

はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

今回は、精神保健福祉法によって定められた、「精神医療審査会」というものについて解説していきます。

この記事の内容

精神医療審査会とは何か解説します!

精神医療審査会とは

精神医療審査会とは、精神保健福祉法によって定められた、都道府県もしくは政令指定都市ごとにおかれる機関のことです。

この審査会は、 精神科病院に入院している患者さんの人権を保護しつつ、適切な医療を担保するための機関です。精神保健福祉法第十二条に、その根拠が以下のように定められています。

第十二条 第三十八条の三第二項(同条第六項において準用する場合を含む。)及び第三十八条の五第二項の規定による審査を行わせるため、都道府県に、精神医療審査会を置く。

この委員については、第十三条で定められています。

第十三条 精神医療審査会の委員は、精神障害者の医療に関し学識経験を有する者(第十八条第一項に規定する精神保健指定医である者に限る。)、精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者及び法律に関し学識経験を有する者のうちから、都道府県知事が任命する。

 委員の任期は、二年(委員の任期を二年を超え三年以下の期間で都道府県が条例で定める場合にあつては、当該条例で定める期間)とする。

このように、精神保健指定医に加えて、法律(弁護士等)や精神保健福祉についての学識経験を有するもの(精神保健福祉士等)のうちから委員が任命され、審査会に参加します。

この委員は、以下の人数基準を満たした5人組の合議体を形成し、案件を審議します。

第十四条 精神医療審査会は、その指名する委員五人をもつて構成する合議体で、審査の案件を取り扱う。

 合議体を構成する委員は、次の各号に掲げる者とし、その員数は、当該各号に定める員数以上とする。 精神障害者の医療に関し学識経験を有する者 二

 精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者 一

 法律に関し学識経験を有する者 一

こうした合議体は、都道府県や都市によって数はさまざまですが、いくつかの合議体が分かれて定期的に審査をするような形になっています。

それでは実際にどのような業務を行なっているのでしょうか。

合議体は、主に病院から出される入院届け・定期病状報告などや、患者からの退院請求等の審査の妥当性について審査しています。

定期の報告等の審査

医療保護入院者の入院届、医療保護入院者や措置入院者の定期病状報告書について、入院や処遇が妥当であるかを審査します。

精神科医をやっていると、入院届の提出や定期病状報告は必須となる業務ですが、これらの審査には精神医療審査会が関わっているんですね。

退院等の請求の審査

精神科に入院中の患者さんは、精神保健福祉法に基づき退院請求や処遇改善請求を行うことができます。

その請求について、妥当性を審査する役割を担っています。

この請求は、法律によって自らの意思に反して入院することになった患者さんの人権を擁護する上で重要な請求であると言えます。

東京都の例

東京都の例では、合議体は8つあり、それぞれに5名の委員が割り当てられています。

メンバー構成や各種審査の流れについては、以下の図解が参考になります。

出典:東京都福祉局

「退院等の請求」に関しては、以下の記事でもまとめていますので、よろしければ参考にしてみてください。

みらいメンタルクリニック - 精神...
【精神科医が解説】精神保健福祉法による退院請求・処遇改善請求とは? - みらいメンタルクリニック はじめに こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mira

おわりに

今回は、精神保健福祉法に基づいた「精神医療審査会」について解説しました!

医療保護入院の入院届や退院請求等に関わるこの機関は、実は精神科に携わるものにとって身近な存在ではあります。

ぜひ、その内容について心に留めておきましょう。

まとめ

精神医療審査会は、法律によって定められた人権擁護のための機関。
退院等の請求や医療保護入院等の入院届・病状報告などを審査する。
5人の委員で構成される合議体があり、そこで審査が行われる。

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この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

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