【精神科医が解説】「激越」(げきえつ)ってなに?激越型うつ病についても解説

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はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

皆様は、「激越」という言葉を聞いてどういう意味か分かりますか?

この記事では、精神医学でも用いる「激越」という言葉について解説します。日常生活では、あまり「激越」という言葉は使わない気がしますが、どういう状態のことを意味するのでしょうか?

激越とは

goo辞書によれば、激越とは、以下のように定義されています。

感情が激しく高ぶること。感情が高ぶって言動が荒々しくなること。また、そのさま。「―な口調で演説する」

英和医学用語集では、激越は「agitation」と英訳されています。興奮や扇動といった意味合いを持つ英単語です。

そのイメージそのままに考えると、激越とは、何か落ち着かず、興奮、不穏な様子といった状態でしょうか。

医療保護入院の入院届にも、状態像の「感情・情動」の欄に「6.焦燥・激越」という選択肢があります。

激越型うつ病

この激越という言葉が使われる状態に、激越型うつ病という言葉があります。

これは、本来のうつ状態であれば思考静止が目立ち、何もかも億劫で抑制された状態になるところを、激越状態で落ち着かない様子になってしまうタイプのうつ病を言います。

激越型うつ病とは、非常に強い不安と落ち着きのなさを示すうつ状態であり,うつ病の主な特徴である抑制性を部分的に認めない病態をいう。

典型的な病像は、一時も落ち着かずそわそわとし,椅子に座ったり立ったりし部屋の中をうろうろと歩き回り,あるいは逆に「体が動かない」 と唐突に横になろうとする。

出典:佐藤ら, 精神医学・55( 6 ):571-574,20

こうしたタイプのうつ病は、老年期うつ病などで見られることがあり、不安焦燥が強まって自殺企図に及んでしまうこともあるなど、予断を許さない状態です。

本人の苦痛も強く、危険な行動化に及んでしまうリスクもあるため、臨床現場では注意が必要な病状です。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

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・激越とは、感情が高ぶり興奮し、言動が荒々しく落ち着かない状態のこと。

・激越型うつ病といったタイプのうつ病もある。

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この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

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