【精神科医が解説】自分が存在しない?「コタール症候群」について解説

目次

はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

今回は、「コタール症候群」という病気について解説していきます。

この記事の内容

コタール症候群について解説します!

コタール症候群とは

コタール症候群とは、自分がすでに死んだり存在していない、または内臓が失われてしまう、腐っているといった妄想をもつ珍しい精神障害のことを言います。

この症候群は、1880年代にフランスの精神・神経科医のコタール氏によって報告された症候群で、「自分が存在しない」とか、「脳や内臓がなくなっていく、腐っている」といった奇妙な妄想や、「自分が永遠に生き続ける」といった不老不死の妄想などを持つといったことが特徴的です。

コタール症候群は、現在の精神医学で用いられる診断基準(ICD-10やDSM-5)では言及されていません

上記のような状態をもし現代の診断基準に当てはめるとすると、「精神病症状(幻覚や妄想など)を伴ううつ病エピソード」などとして診断されうるでしょうか。

どんな病気で出るのか?

コタール症候群の症状は、現代の分類でいうとどのような病気で見られるのでしょうか。

コタール症候群は、うつ病や統合失調症などで見られることがあると考えられています。

うつ病では、抑うつ症状だけでなく妄想を伴うことがあります。例えば、「微小妄想」といって、「自分には大きな借金がある」といった貧困妄想や、「思い罪を犯してしまった」という罪業妄想、「重い病気にかかっている」という心気妄想などが見られることがあります。

コタール症候群の100症例を分析した研究では、89%に抑うつ症状を認めたとのことで、うつ病状態でコタール妄想が出ることがあると考えられます。

コタール症候群は、借金とか病気どころか、「自分の内臓が溶けてなくなってしまう」「自分が存在しない」というレベルまで自分の存在が矮小化されており、非常に重症のうつ病で見られるスケールの大きな(というか小さな?)ものと考えられます。

また、珍しいケースではありますが、統合失調症の患者さんに見られたといった報告もあるようです。

統合失調症では、幻覚や妄想が見られることが多く、体感幻覚といって「脳が溶け出す」「蛇がグネグネと体を這っている」といった奇妙な感覚を訴えることもあります。

おわりに

コタール症候群は、現代の診断基準には病名が規定されているわけではありませんが、うつ病や統合失調症などで見られることのある珍しい精神障害です。

まとめ

コタール症候群は、「自分が存在しない」「内臓が腐っている」「内臓が存在しない」といった特異な妄想を伴うことが特徴。
重症なうつ状態の患者さんなどで稀に見られる。

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この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

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