【精神科医が解説】パニック発作が起こる病気は?パニック障害との違いも解説

目次

はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

今回は、「パニック発作が起こりうる病気」について解説していきます。

この記事の内容

パニック発作はどのような病気で出るのか、パニック障害との違いも解説します!

パニック発作とは

パニック発作とは、急激な不安感や恐怖感が出現し、息苦しさや動悸といった症状に襲われますが、しばらくすると改善する発作のことを言います。

その発作は激しく、時に死を覚悟するほどの恐怖感を伴うこともあります。

パニック発作は、いわゆる不安障害という一群の病気で起こりやすいと言われています。

米国精神医学会が発行している国際的な精神疾患の診断基準DSM-Ⅴでは、パニック発作の診断として以下の項目のうち4つ以上を満たすとしています。

DSM-5によるパニック発作の診断基準

このように、突発性の強い不安や、動悸や窒息感といった症状が出現することがパニック発作の特徴です。

どのような病気で出る?

このパニック発作は、不安障害と言われる病気ではよく見られます。

その代表的なものを紹介していきます。

パニック障害

「パニック障害」は、「パニック発作」が突然、予期できない状況で出現する病気です。

名前からして同じものと勘違いしてしまいがちですが、この「予期できない状況で起こる」という点が、パニック障害の特徴です。

しかし、そのような発作を繰り返しているうちに、「予期不安」といって発作が起こることが不安になり、広い場所や公共交通機関、一人での外出などを避けるようになります。

これを「広場恐怖」と言い、定義上は別の病気になりますが、パニック障害に併発することが多い病気です。

広場恐怖症

「広場恐怖症」は、パニック障害の方に多く合併します。

突然やってくるパニック発作を恐れるあまり、広場や公共交通機関、単独での外出など、すぐに脱出したり助けを求めたりできないない場所に行くことが不安に感じてしまいます。

こうした状況に行くと、恐怖でパニック発作が起こってしまうこともあります。

ただ、広場恐怖症自体は必ずしもパニック発作は関係なく、あくまでも先ほどご紹介した「広場・公共交通機関など」の状況を恐れてしまう状態のことなので、パニック発作やパニック障害が存在しているとは限りません。

限局性恐怖症

これは、いわゆる「〇〇恐怖症」というもので、高所、雷、閉所など、様々な特定の状況を恐怖してしまう病気のことです。

こうした恐怖症では、恐怖を持つ状況に晒された時にパニック発作を起こしてしまうことがあります。

前にあげた広場恐怖症でパニック発作を起こしてしまうのも、これと同様の病態であると言えます。

社交不安症

「社交不安障害(social anxiety disorder)」とも呼ばれ、人前で話をしたり、食事をしたりすることに必要以上に緊張・恐怖してしまう病気です。あがり症と呼ばれることもあります。

人から注目を浴びる場面で緊張・不安が強まり、動悸や発汗、赤面など様々な症状が生じます。人前に出た場面で、パニック発作が生じる可能性はあると言えます。

PTSD

PTSDとは、「心的外傷後ストレス障害」の略であり、大災害や戦争、レイプなど、生命の危険や性的暴力などのトラウマ(心的外傷)体験を負った後に生じる特徴的なストレス症状群のことをさします。

PTSDでは、その際の記憶が突然蘇ってくるなど、再体験が繰り返されることが特徴の一つです。このような場合、動悸や息苦しさといったパニック発作が見られることがあります。

おわりに

これまで、パニック発作が見られる主な病気について解説してきました。

これらはあくまで例ですが、現場でよく見られる病気としては、これらの病気が多いと思います。ほかには、小児などでは分離不安症などでも起こる可能性があります。

以下にまとめてみます。

まとめ

  • パニック発作は、パニック障害以外でもみられる。
  • 主なものとしては、パニック障害の他にPTSDや社交不安症、種々の恐怖症などでみられる
  • パニック障害では、パニック発作が突然予期できない状況でゲリラ的に起こるのが特徴!
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この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

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