【精神科医が語る】精神科医のやりがいとは?5つのポイントを挙げてみました

目次

はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

今回は、主に学生さんなど、進路に悩んでいる方に向けて、精神科医の「やりがい」について語ってみたいと思います。

この記事の内容

現役の精神科医が精神科医のやりがいについて語ってみます!

プロフィール

まず、著者のプロフィールを少し。

私は平成31年に医師免許を取得し、令和3年から精神科医として働き始め現在は3年目になります。

もともと私は精神科医になるつもりはありませんでしたが、紆余曲折あって現在の道に進みました。

精神科医になった理由

もともと私は医師になるつもりはなかったのですが、家族からの勧めで医学部に進学することになりました。

医学部に入ってからも、初期研修医になってからも、「この科に進みたい」と強く惹かれるものはありませんでした。

精神科でのポリクリでは、回診中に激高してしまった患者さんからイスを投げられ、それが目の前に飛んできて「こんな科は嫌だ」と思ったのを覚えています。

しかし、初期研修を送っているうちに、連日孤独感を訴えて救急搬送する高齢者や、せん妄を起こし病棟で大不穏になってしまう患者さんなど、身体的な治療だけではなく、精神的なケアの必要性を感じるシーンを数多く目にしました。

中には、そういった患者さんを見ると「P(Psycho)の患者さんが来た」などと軽蔑する医療スタッフも少なからずおり、心の中で疑問を感じていました。医療における、心と体のスキマといえるでしょうか。そこのケアが不十分だなと感じたのです。

心臓外科のように、花形でかっこいいイメージはありませんでしたが、そんな「スキマを埋める」精神科に魅力を感じ、私は現在の道に歩むことを決めました。

精神科医のやりがいとは

そんな私が精神医療に3年ほど携わって感じる、「やりがい」について、5つほどのポイントに分けて話してみたいと思います。

1.意外とよくなる

「精神科の病気は治らないよ」

そんな言葉を聞いたことはありますでしょうか。私は以前、精神疾患についてそうしたイメージを持っていました。

これは、半分正解で、半分不正解だと思っています。

確かに、精神疾患は慢性疾患が多く、治療をやめると再発してしまう病気は数多くあります。

ですが、少なくとも急性期の症状は、治療によって劇的に改善することも珍しくありません。

ひどく苦しそうなうつ病の患者さんが、薬物療法によって寛解し、穏やかな笑顔で退院されていくとき。

幻覚や妄想が活発で、まともに話ができなかった統合失調症の患者さんが、電気けいれん療法を受けて劇的に改善したとき。

精神科の治療は長丁場になることもありますが、想像していた以上にダイナミックに症状がよくなることも数多くあります。

これはほかの仕事に負けない、大きなやりがいだといえます。

2. 若い人の健康を支える

精神疾患は比較的若い方に発症することも多く、若い患者さんを相手にすることが多いのも精神科の特徴です。

からだの病気は圧倒的に高齢の方に多く、なかには改善の見込みがなく、終末期に向かっていく患者さんもおられます。時に、どこまで治療をして、延命をすべきなのかといった、医療の根源にかかわる難しい問題に直面し、私も医師としてのモチベーションが揺らぐことがありました。

精神科領域では、仕事をしながら病気と闘っている方も多数おり、つまり病気を治すことができれば、その分社会に復帰して生産活動に戻っていけるということになります。超高齢社会となり、生産年齢人口が減少している日本では、生産者である若い人をサポートすることは重要な問題です。

病気のために仕事から離れざるを得なかった患者さんが、治療によってよくなり、仕事に復帰できる姿を見ると、「いいお手伝いができたな」とひっそりうれしくなります。

3.患者さんの人生に寄り添うことができる

これはほかの仕事でもそうだと思うのですが、「人生に寄り添う」という点で、精神科は特徴的だと思います。

なぜなら、初めて診察に来た時から、患者さんの生い立ちや学歴、家族関係など、事細かに人生について尋ね、それを参考にしながら診療を進めていきます。

そして治療に関しても、家族との関係や、仕事など、人生のあらゆる側面にフォーカスしながら、治療を進めていくことになります。

精神科にはいろいろな患者さんがいらっしゃいます。よりよい人生のためのお手伝いをしていく中で、それぞれの人生について思いを馳せ、「こんな生き方もあるんだなぁ」と、いろいろな人生を追体験するような面白さが、精神科にはあります。

4.自分の人生にもフィードバックできる

精神科では、患者さんのよりよい人生についてお手伝いをすると書きましたが、それはつまり、自分の人生についても同じことが言えます。

誰しもが、それぞれいろいろな悩みをかかえ、感情が大きく揺らいだり、不安におそわれたりすることもあるでしょう。

そんな時、医師として患者さんにアドバイスをする内容は、自分にも活かすことができます。

不安や怒り、悲しみとの向き合い方や、幸せに生きるためのコツなど、患者さんとの出会いを通じて、医師自身も多くのことを学んでいきます。

逆もしかりで、日常生活で学んだことを、臨床にフィードバックすることもできます。

こうした公私のバランスの良さは、精神科の仕事の魅力だと思います。

5.ある程度待遇にも恵まれている

精神科医は、医師として、ある程度給与・年収などの点でも恵まれている職業といえます。

2012年に労働政策研究・研修機構が実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、精神科医の平均年収は1,230.2万円でした。

これは医師の中ではとりわけ高いほうではありませんが、生活をする中では十分すぎる数字だといえるでしょう。

また、基本的には精神科の仕事は一分一秒を争う事態というものは少なく、自宅にいても呼び出されるといったことは少ないです。

そのため、プライベートを大事にしつつ仕事にも打ち込めるという、やりがいのある環境が整っているといえます。

おわりに

精神科医としてのやりがいについて、現役の医師の立場から語ってみました。

やりがいというのは人それぞれが抱くもので、個人の意見はあくまで個人のものですが、この記事を読んで、進路選びの参考にしていただければ幸いで。。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

コメント

コメント一覧 (5件)

コメントする

目次