【精神科医が解説】双極Ⅰ型障害とⅡ型障害の違いとは?

目次

はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

今回は、双極症(双極性障害)といわれる病気のなかでの、双極Ⅰ型障害とⅡ型障害の違いについて解説していきます。

この記事の内容

双極Ⅰ型障害、Ⅱ型障害の違いについて精神科医が解説します。

双極性障害とは

双極症(双極性障害)は、気分障害といわれる病気の一つで、気分高揚や多弁などの躁病エピソードと、抑うつ気分などのうつ病エピソードの両者を繰り返す病気です。

アメリカ精神医学会の発行する「精神障害の診断と統計マニュアル第 5 版(DSM-5)」では、この双極性障害について、「双極Ⅰ型障害」「双極Ⅱ型障害」に分類しています。

Ⅰ型とⅡ型の違い

Ⅰ型とⅡ型の違いは、簡単に言うと躁状態の程度によるものです。それを「躁病エピソード」「軽躁病エピソード」として区別されます。

大まかにいうと、「躁病エピソード」は、家庭や仕事に重大な支障をきたし、社会的にも影響をきたし、入院が必要になるような状態のことを言います。

いっぽう、「軽躁病エピソード」に関しては、気分の高揚や不眠などは存在しているものの、社会的・職業機能的に著しい支障をきたさず、入院に至るほどではないものになります。

またDSM-5では、双極Ⅱ型障害に関しては、「軽躁状態」と「うつ状態」の両方が存在していることとなっていますが、双極Ⅰ型障害に関しては、うつ状態の存在が確認できなくても診断がなされます。

診断基準での違い

実際の診断基準において、どのように違うのかを具体的に見ていきましょう。

まず、躁病エピソードの診断に用いる項目についてみていきます。

躁病・軽躁病エピソードの診断項目

A. 高揚気分、開放的な気分、易怒性のいずれかがあり、目標指向性の活動の異常な増多がある

B. 気分が障害され、かつ活力および活動が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ以上(気分が易怒性のみの場合は4つ)が持続

  1. 自尊心の肥大、または誇大
  2. 睡眠欲求の減少
  3. 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
  4. 観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
  5. 注意散漫
  6. 目標指向性の活動の増加。または精神運動焦燥
  7. 困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること

躁病エピソードでは、

  • 上の基準を満たす状態が7日間持続した
  • 社会的に著しい問題が生じて入院の必要性を生じている
  • 妄想など精神病症状を伴っている

これらいずれかを満たす場合に、診断されます。

一方、軽躁病エピソードについては、上記の状態が4-6日間持続している場合に診断します。

おわりに

それでは、躁病エピソードと軽躁病エピソードの診断基準の相違点について、まとめてみましょう。

まとめ

双極Ⅰ型障害は、躁病エピソードが存在するときに診断される
双極Ⅱ型障害は、抑うつエピソードと軽躁病エピソードが存在する時に診断される
軽躁病と躁病の違いは、入院を要するほど社会的に著しい障害をきたしているか、または持続期間、精神病症状の有無などで区別する

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この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

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