はじめに
こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。
今回は、「ジプレキサ錠とジプレキサザイディスの違い」について解説していきます。
ジプレキサ錠とジプレキサザイディスの違いについて医師が解説します!
はじめに
ジプレキサ(オランザピン)は、MARTAと呼ばれる抗精神病薬の種類のうちの一つになります。
統合失調症や双極性障害など、様々な病気に使われることがあり、現在も現場ではよく使われる薬剤の1つです。
ジプレキサには、内服だけでなく注射剤もあり、剤型が様々であることも特徴的です。
その中で、内服の剤型には「普通錠」や「細粒」と、口腔内崩壊錠である「ザイディス」というものがあります。
「ザイディス」とは何なのでしょうか?
ザイディスとは
ジプレキサを製造している日本イーライリリー社のHPには、以下の解説が載っています。
ザイディス錠は、OD錠と同じ口腔内崩壊錠ですが、製造方法が異なり凍結乾燥製剤となります。ザイディスとは、キャタレント社が持つ製剤技術の名称です。
本剤は口腔内で速やかに崩壊することから唾液のみ(水なし)でも服用可能ですが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、崩壊後は唾液又は水で飲み込んでください。
出典:日本イーライリリー社HP
このように、ザイディスは基本的に口腔内崩壊錠(水なしで口の中でサッととける錠剤。OD錠とも)と同じようなものだと考えていいでしょう。
OD錠とザイディス錠の違いは、製造方法の違いにあるようです。
ザイディス錠のメリット
ODやザイディス錠は、口の中でサッと溶けることから水なしで飲めることがメリットです。
こうしたことから、嚥下困難な方などにも投与がしやすいといえます。
また、ザイディスであれば口腔内に入れるとすぐに崩壊するので、お薬をしっかり飲めたかどうかの確認がしやすいというケア側の利点もあります。
ザイディスと普通錠の薬価比較
ジプレキサのそれぞれの内服剤型の薬価を比較してみましょう。
先発品
先発品に関しては、ザイディスも普通錠も価格は変わりません。
ジプレキサ (日本イーライリリー) | ジプレキサ錠2.5mg (先発品) | 61.2円/錠 |
ジプレキサ錠5mg (先発品) | 118円/錠 | |
ジプレキサ錠10mg (先発品) | 229.5円/錠 | |
ジプレキサ (日本イーライリリー) | ジプレキサ細粒1% (先発品) | 221円/g |
ジプレキサ (日本イーライリリー) | ジプレキサザイディス錠2.5mg (先発品) | 61.2円/錠 |
ジプレキサザイディス錠5mg (先発品) | 118円/錠 | |
ジプレキサザイディス錠10mg (先発品) | 229.5円/錠 |
後発品
後発品に関しては、ザイディスではなく「OD錠」となっています。先発品であるザイディスより、値段は安くなっています。こちらも普通錠とOD錠では値段は変わらないようです。
オランザピン (共和薬品工業) | オランザピン細粒1%「アメル」 (後発品) | 44.8円/g |
オランザピン (共和薬品工業) | オランザピンOD錠1.25mg「アメル」 (後発品) | 6.4円/錠 |
オランザピンOD錠2.5mg「アメル」 (後発品) | 10.4円/錠 | |
オランザピンOD錠5mg「アメル」 (後発品) | 21.1円/錠 | |
オランザピンOD錠10mg「アメル」 (後発品) | 37.1円/錠 | |
オランザピン (共和薬品工業) | オランザピン錠1.25mg「アメル」 (後発品) | 6.4円/錠 |
オランザピン錠2.5mg「アメル」 (後発品) | 10.4円/錠 | |
オランザピン錠5mg「アメル」 (後発品) | 21.1円/錠 | |
オランザピン錠10mg「アメル」 (後発品) | 37.1円/錠 | |
オランザピン錠20mg「アメル」 (後発品) | 54.1円/錠 |
ただし、医療機関や薬局の中には「普通錠は後発品、口腔内崩壊錠は先発品のザイディスしか置いていない」というところもあるかもしれません。
基本的に、先発品・後発品ともに普通錠と口腔内崩壊錠は値段は変わりません。しかし、上記のような場合に、後発品の普通錠から先発品のザイディス錠に変えたいという場合には、薬価が高くなってしまう可能性はありますね。
おわりに
今回の記事の内容をまとめます。
「ザイディス」と普通錠の違いは、口腔内崩壊錠であるか否か。
ODとザイディスは大体同じだが、ザイディス錠は特許技術を用いた口腔内崩壊錠である。
先発品であるザイディス錠はOD錠より薬価は高い。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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