【精神科医が解説】一次妄想と二次妄想の違いとは?妄想の種類についても解説します

目次

はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

今回は、「一次妄想と二次妄想の違い」について解説していきます。

この記事の内容

精神科医が「一次妄想と二次妄想の違い」について解説していきます!

妄想とは

妄想とは、事実とは明らかに異なることに対して確信を抱いてしまい、論理的に説明されても修正できない考えを持ってしまうこと言います。

妄想は、その形式上、「一次妄想」「二次妄想」と呼ばれて区別されます。

一次妄想と二次妄想

簡単にいうと、一次妄想と二次妄想の違いは、「生じ方が了解可能かどうか」という点で区別されます。

妄想の種類

一次妄想

生じ方が心理的に了解できないもの(妄想気分、妄想知覚、妄想着想)→おもに統合失調症にみられる

二次妄想

生じ方が心理的に了解可能なもの(被害妄想、微小妄想、誇大妄想など)→統合失調症、気分障害、認知症などでみられる

特徴としては、妄想○○と最初に妄想が付くものは一次妄想、○○妄想と後ろに妄想が付くものは二次妄想として覚えておけばOKです。

一次妄想の種類

一次妄想は、その内容で3つに分類されます。

妄想気分

妄想気分は、周囲が何かただならぬ不気味な様子で、大変なことが起こりそうだ、といった不安感を抱いてしまう内容の妄想になります。

中には「世界没落体験」といって「世界が破滅してしまう」などといった非常にスケールの大きい妄想を抱いてしまうこともあります。

この不気味な感覚は根拠があるわけではなく了解不能であり、一次妄想に分類されます。

妄想気分の例

「何か大変なことが世界に起こってしまう予感がする」

妄想知覚

妄想知覚は、知覚されたものに対して妄想的な意味合いを付加してしまう状態のことを言います。

例えば、「バスが目の前を通ったので私は世界の救世主となる」といったように、非常に不自然な意味づけがなされるため、一次妄想に分類されます。

妄想知覚の例

「猫が目の前を横切ったので世界が滅ぶのに違いない」

妄想着想

妄想着想は、読んで字のごとく、突然頭に浮かんだことを妄想として確信してしまうことです。

「私は世界を救う唯一王であると確信した」などと突然妄想を思いついてしまうので、その生じ方は了解できません。そのため一次妄想に分類されます。

妄想着想の例

(理由もなく突然に)「私は神の子に違いない」

二次妄想の種類

一方、二次妄想とは、その患者さんの性格やおかれた環境などから、妄想が起こる状況はある程度理解可能なものを指します。

二次妄想には、大きく分けると、被害妄想、微小妄想、誇大妄想があります。

被害妄想

被害妄想は統合失調症などで見られますが、認知症などでも見られます。

「近所の人が悪口を言っている」といった、ある程度理解可能な小規模なスケールのものから、「全世界から監視されている」「国連軍に追われている」「電磁波で攻撃されている」など、スケールが大きく突拍子のないものもあります。

また、アルツハイマー病では「物盗られ妄想」といって、「自分のものを盗まれた」という妄想が有名です。これは認知症により記銘力低下などが影響していると考えられます。

被害妄想の例

「隣人が自分の悪口を言っている」「集団ストーカーにすべて盗聴されている」

微小妄想

微小妄想には、罪業妄想、貧困妄想、心気妄想などがあり、うつ病で特徴的にみられます。うつ病では、気分の落ち込みから自分のことを実際より極端に低く評価してしまい、それに伴ってこのような妄想が起こると考えられます。

微小妄想の例

罪業妄想:「自分は大きな罪を犯してしまった」

貧困妄想:「自分には多額の借金がある」

心気妄想:「自分は重い病気にかかっているに違いない」

誇大妄想

誇大妄想は、躁状態や統合失調症などでみられ、自分のことを過大に評価してしまう妄想になります。微小妄想とは真逆ですね。

例えば、高貴な血統であると確信したり、自分は神であるといったように宗教的に特別な存在であると思い込むといった妄想がみられます。

誇大妄想の例

血統妄想:「私は天皇家の血を引く皇族である」

宗教妄想:「自分は神の生まれ変わりである」

おわりに

一次妄想と二次妄想の違いについて、説明してきました。

妄想には様々な種類があり、いろいろな名前が付けられています。細かい名前についてはともかく、妄想にはどのような分類があり、どの病気で起こることが多いのか、を知っておくと役に立つと思います。

参考になれば幸いです。

まとめ

一次妄想とは、生じ方が心理的に了解できないもの(妄想気分、妄想近く、妄想着想)→妄想○○という呼び方のもの

二次妄想は、生じ方が心理的に了解可能なもの(被害妄想、微小妄想、誇大妄想など)→○○妄想という呼び方のもの

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この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

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