【精神科医が解説】連合弛緩ってなに?例を出して説明します

目次

はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

今回は、精神科の用語に登場する「連合弛緩」について解説していきます。

この記事の内容

精神科医が「連合弛緩」という言葉の意味について解説します!

連合弛緩とは

連合弛緩(れんごうしかん)とは、精神医学において用いられる用語の1つです。

これは、統合失調症の症状の1つで、一言でいうと「考えのまとまりがなくなり、話題が飛躍し、会話にもまとまりがなくなってしまう状態」になってしまう状態のことです。

統合失調症では、思考の障害が起こることが特徴的です。この思考の障害により、観念と観念の論理的つながりが失われてしまうことで、思考のまとまりがなくなってしまう様子が特徴的にみられます。

この連合弛緩は、ブロイラーというスイスの精神科医が唱えた「ブロイラーの4A」という統合失調症の基本的な症状にも挙げられています。

ブロイラーの4A

感情障害 Affektstorung
自閉 Autismus
両価性 Ambivalenz

連合弛緩Assoziationslöckerung

連合弛緩の状態では、まとまりはなくてもかろうじて大意を取ることが可能なこともあります。

例えば、「明日は郵便局で、大丈夫、3時に起きて緊張」のように、意味が分かるようでいて何を言いたいのかわからないような会話がみられます。

この連合弛緩がさらに進行すると、「支離滅裂」であったり「言葉のサラダ」と呼ばれるような状態になり、無意味な単語の羅列状態になって意味不明な発言がみられるようになってしまいます。

イメージ的には、例えば鉛筆の束をヒモで縛ったものを思い浮かべてみましょう。

ヒモがしっかりと束ねていてまとまっている状態だと思います。これが、観念が意味的なつながりをもって結びついている通常の状態だとします。

そのヒモが緩んでしまうと、鉛筆の束がユルユルになって、最後には束がバラバラになってしまうと思います。

ヒモが緩んだ状態が連合弛緩、完全に鉛筆がバラバラになってしまった状態が滅裂状態だとイメージするとよいかもしれません。

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連合弛緩と観念放逸の違い

連合弛緩とやや似た状態の1つに、「観念奔逸(かんねんほんいつ)」と呼ばれる状態があります。

観念奔逸は、双極性障害の躁状態で特徴的にみられる症状で、「新しい考えが次々にほとばしり、まとまりなく脱線してしまう状態」のことを言います。

次々に新しい考えが浮かんできて思考がどんどん脱線し、最初の目標からはずれていき、全体としてまとまりを欠いてしまいます。

また語呂合わせやダジャレを連発したりといった様子もみられることがあり、思考プロセスが異常に亢進している状態であることが特徴的です。

思路障害の用語

統合失調症やうつ病、躁状態に特徴的な思考障害の用語をまとめてみました。

思考の異常の種類

①思路の異常・・・連合弛緩、思考制止、観念奔逸など

→思考の過程の異常。まとまりを欠いたり、異常に亢進したり制止してしまう

②思考体験の異常・・・思考伝播・自生思考・強迫観念など

→自我が障害され、思考を自分でコントロールできなくなる

③思考内容の異常・・・妄想着想・妄想知覚・被害妄想など

うつ病で見られる「思考制止」は、観念放逸とは正反対に考えが浮かばず、思考が制止して停滞してしまうことがみられます。

おわりに

精神医学の用語である「連合弛緩」について解説しました。

統合失調症では思考の障害が特徴的にみられること、そして連合弛緩が進行すると支離滅裂な状態になってしまうという点は覚えていきましょう。

まとめ

連合弛緩とは、統合失調症にみられる症状の1つ。
思考の脈絡がなくなり、まとまりを欠いて意味がつかみにくくなる。
進行すると支離滅裂や、言葉のサラダといわれる状態になってしまう。

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この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

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