【精神科医が解説】統合失調症の「言葉のサラダ」ってなに?

目次

はじめに

こんにちは。精神科医として心の健康に関する情報を発信している、精神科医ブロガーのやっくん(@mirai_mental)です。

今回は、統合失調症患者さんにみられる「言葉のサラダ」という言葉について解説していきます

この記事の内容

統合失調症でみられる「言葉のサラダ」という用語の意味を解説!

「言葉のサラダ」とは

精神科領域では、「言葉のサラダ」という言葉が使われることがあります。これは統合失調症の患者さんに特徴的な様子を示す言葉です。

どんな意味なのでしょうか。

簡潔に言うと、「まとまりない言葉の無意味な羅列で、言っていることが全く意味が通らない状態」ということを示す言葉になります。

なぜ起こる?

統合失調症でみられる連合弛緩

統合失調症の患者さんでは、「連合弛緩」といって、思考が解体し、考えや言動がまとまらない状態になることが特徴的にみられます。

これが進行すると、次第に言っていることのテーマがまとまらなくなり、あっちやこっちに思考が飛んでしまい、支離滅裂になってしまいます。

この連合弛緩がどんどん進むと、思考が解体してしまい、何とか保たれていた脈絡もなくなってしまいます。すると、発言することも本当に無意味な単語の羅列で、全く意味が通じない「言葉のサラダ」状態になってしまうのです。

なぜサラダ?

こうした状態が、なぜサラダと呼ばれるんでしょうか?

皆さんはご存じの通り、野菜サラダには、トマトやレタス、キュウリなど、いろいろな野菜が形のまま混ざっていると思います。

けれども野菜はそれぞれ形があって、例えば小麦粉と卵を混ぜてケーキを作るときのように、完全に混ざりあうことはないでしょう。

「言葉のサラダ」状態は、要するにこのサラダの状態のことを示した言葉です。

サラダボウルに入っている野菜のように、それぞれの単語がほかの言葉と相容れることなく無関係に並んでいる状態のことをたとえています。

「言葉のサラダ」の一例

言葉のサラダ状態になってしまうと、患者さんがすらすらと文章を話してもまるきり意味がつかめません。

私が知っている慢性期の患者さんは、診察するたびにこんなことをおっしゃいます。

「金曜日に野球場で弁護士さんと退院。外出の夜勤は○○さんでガスト」

一見文法上はそれらしく見えても全く脈絡のない言葉を並べただけで、何を言いたいのかわからない文章になっています。まさに「言葉のサラダ」状態です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

統合失調症患者さんにみられる、「言葉のサラダ」という状態像について解説しました。

統合失調症では、治療の開始が遅れたり再発を繰り返したりすることで、徐々に症状が進行してしまうことがあります。

最初は軽い連合弛緩程度でも、長期の経過によって思考のまとまりが完全に失われ、人格水準が低下してしまうことにつながります。

こうしたことを防ぐためには、早めに治療を開始し、再燃を防ぐことが重要と言われています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

まとめ

  • 「言葉のサラダ」とは、サラダのように無関係の言葉がまとまりなく羅列された状態のこと!
  • 連合弛緩が進むとみられることがある!
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この記事を書いた人

大学病院勤務の20代精神科医。市中病院で初期研修後、大学にて精神科後期研修3年目。ブログ運営が趣味(3サイト運営中)勉強を兼ねて、精神科の知識やネタについてアウトプットしていきます。

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